1.アドボケイトとは
「アドボケイト(adovocate)」とは、ラテン語の“voco”に由来し、「to call(声をあげる)」、すなわち「擁護者・代弁者」、「擁護する・代弁する」ことを意味します(名詞でもあり動詞でもあります)。
アドボケイトは、自ら権利主張をできない子供や障害者、高齢者など、社会的に弱い立場にある様々な人を対象としていますが、私たちは、精神科病院に入院している入院者に対するアドボケイト活動(精神科アドボケイト)を重点的に行っています。

2.精神科アドボケイトが必要な理由
日本には、世界的に見ても、圧倒的に多い精神科病床数(世界の約4分の1)があり、また、精神科病院への入院期間も、長期間にわたっています。加えて約半数近くが医療保護入院などの非自発的入院です。長期間、密室の中で、医療側と患者側という固定された上下関係が継続することは、虐待を生む構造となり、精神科病院内での虐待は後を絶ちません。
精神科病院に入院している入院者は、長期間、病棟の外に出ることもかなわず、自分の話を聞いてもらう機会もほとんどないため、自分が思っていること、自分の希望を医療側に伝えることができない、言っても聞いてもらえないとあきらめてしまっている場合が多くあります。
そのため、精神科病院に入院している入院者の権利擁護を行う精神科アドボケイトが必要なのです。

3 精神科アドボケイトの役割
(1)本人の話を聴きます
本人の立場に寄り添い、本人の話をしっかり聴きます。
(2)伝え方を一緒に考えます
病院職員など周囲にどのように自分の想いを伝えたら良いか一緒に考えます。
(3)社会資源を説明します
入院中、退院後に使える支援機関や制度を知ることで、思いを行動に変えることができる場合があります。
(4)医師その他の専門職の役割を説明します
医療以外のことを医師の役割や「退院後生活環境相談員」(精神保健福祉士)の役割を知らない人も少なくありません。
(5)本人に権利を伝えます
法律上定められた権利である退院請求や療養環境上の人として当たり前の権利があります。必要に応じて、弁護士会等の情報提供を行います。
